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■大阪桐蔭の伝統 寮の食堂でタイミング合わせるミーティング
MLBをはじめ、最近の野球はデータが重視されています。高校野球でも、データ班をつくるチームが増えています。
私が所属した大阪桐蔭高校では、メンバーを外れた部員がデータ分析を担当しました。ただ、カウント別の配球のような細かいデータはなく、担当者が試合を見て「打者がストレートに遅れている」、「変化球の割合が高い」といった印象をメモし、チームで共有する形でした。
それ以外の対策としては、相手投手の映像をチェックしました。大阪桐蔭では、試合の数日前になると、対戦を想定してタイミングを取るためのミーティングがありました。選手が寮の食堂に集まり、全員で投手の映像に合わせてタイミングを取ります。スイングをするわけではなく、タイミングを合わせるだけのミーティングです。今振り返ると異様な光景ですが、当時は当たり前の準備として毎試合続けていました。
安打の確率を上げるためには、打撃フォームや筋力など様々な要素が必要になりますが、結局はタイミングが合わなければバットに当てることさえできません。それだけ、タイミングが大事なわけです。

大阪桐蔭では甲子園春夏連覇を達成
■亜細亜大では詳細なデータ分析 メリットとデメリット
亜細亜大学に進むと、データが詳細になりました。相手投手の成績や特徴から始まり、「変化球が続く確率」や「初球の球種の傾向」など、カウントや走者別の配球もかなり詳しかったです。チーム内にデータを収集して分析する部員がいて、試合の約1週間前になると、監督とコーチ、データ班、ベンチ入りメンバーでミーティングしました。大学は高校と違ってリーグ戦なのでデータを集めやすく、情報量は多かったです。
データの活用法は、選手のタイプによって異なります。共有した情報をフルに活用する選手もいれば、相手投手の持ち球を頭に入れるだけの選手もいます。私は球種を張るタイプの打者ではなかったので、データは参考程度にとどめていました。データを重視して打席に入った時期もありましたが、データがことごとく外れた経験も理由の1つです。
バッテリーは、相手打者の調子や反応を見て配球を決めます。そのため、事前の分析と傾向が異なるケースもあります。自分たちがデータ分析されていることを逆手に取って、これまでとは全く異なる配球をしてくるバッテリーもいます。確率を考えるとデータ通りになるのかもしれませんが、自分には合わないと感じました。
カウント別の配球データには、メリットもデメリットもあります。例えば、2ボール、0ストライクの時、80%以上の確率でストレートが来るデータを頭に入れて打席に入ると、その状況になった時、「次はストレートに違いない」という考えが自然と働いて、甘い変化球に反応しづらくなります。その通りにストレートが来た時も、私は力んで打ち損じることが少なくありませんでした。
それから、分析のもとになるデータは担当者の目視とスピードガンが基本です。球種や球の軌道が正確にデータ化されるMLBやNPBと比べると、当然ながら緻密さが異なります。当時、私は試合後、データ班と一緒に球場に残って、他のチームの試合を観戦することもありました。スタンドから見る相手投手の球は、打席と見え方が変わります。
また、データ班と私の見解にも違いがありました。ストレートと変化球の違いはスタンドからでも分かりますが、球種ははっきりしません。カットボールなのかスライダーなのか、それとも球速の速いカーブなのか、判断が難しいです。そうなると、データ班が算出した球種の割合は、自分の感じ方と差が生まれる可能性があります。

大阪桐蔭高校卒業後は亜細亜大学でプレー
■東邦ガスは相手打者の傾向も分析 アナライザーも経験
大学で集めたデータはバッテリーに関する内容が中心だったのに対し、社会人の東邦ガスでは、バッテリーに加えて相手打者の傾向も詳しく分析していました。打者の打球方向のデータは、守備のポジショニングを決める際に有効でした。
東邦ガスにはアナライザーがいました。私も右膝の前十字靭帯断裂で戦列を離れた時期、アナライザーを担当しました。チームから離れて、全国各地の球場に行って、対戦する可能性のあるチームの試合を観戦しました。相手投手の球種や球速、打者の打球方向などを細かく記録する役割です。大会が近づくとバッテリーコーチも分析に加わり、集めたデータをもとにミーティングしました。
社会人野球でも、私はデータに頼りすぎないようにして打席に入りました。相手投手の球種を把握する程度でした。ただ、バントやエンドランなど、点差やアウトカウントによって相手チームが仕掛けてくる攻撃の戦略は、データ通りになる確率が高いと実感しました。そのため、守備ではデータを重宝しました。
野球は「頭を使うスポーツ」、「間のスポーツ」と言われます。結果を出すために技術やフィジカルを向上させるだけではなく、どのようなデータを集めて活用するのか。その重要性が今後さらに増していくと感じています。