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なぜ大阪桐蔭は夏の甲子園を逃したのか 元主将が見た誤算と打線の課題


夏の甲子園出場を逃した大阪桐蔭

 

■センバツ優勝投手 夏の大阪大会直前に離脱

夏の甲子園が開幕しました。私の母校・大阪桐蔭高校は今大会の出場を逃し、履正社高校が大阪代表として戦います。

大阪桐蔭は今春の選抜高校野球大会で優勝し、甲子園春夏連覇の期待がかかっていました。しかし、大阪大会の4回戦で延長10回タイブレークの末、2-3で大阪立命館に敗れました。

優勝したセンバツの戦いを見た限り、大阪桐蔭は夏も甲子園に行く可能性が高いとみていました。想定外だったのは、2年生左腕・川本晴大投手の離脱です。センバツでは決勝戦で完投するなどチームを牽引する存在でしたが、大阪大会直前にけがが判明し、メンバーを外れました。

大阪桐蔭は選手層の厚さも特徴です。川本投手を欠いても、他の投手陣で大阪大会を勝ち抜ける力は十分にあります。ただ、センバツを見ていて、気になる点がありました。それは、エースナンバーをつける吉岡貫介投手の投球です。

 

■センバツで感じた不安 修正できなかったエースの制球

速球の最速は150キロを超え、変化球も器用に操る吉岡投手の能力は高校生の中でトップレベルです。ただ、センバツでは本来の投球とは言えない内容でした。甲子園の舞台に緊張し、一時的に上手くいっていない感じには見えませんでした。

甲子園には独特の緊張感があります。高校生の憧れの舞台であり、あれほどの観客の前でプレーする機会は甲子園だけです。その影響で、試合序盤に投手が制球を乱すケースは珍しくありませんが、吉岡投手はイニングが進んで雰囲気に慣れてくるはずの場面や、心に余裕を持てる状況でも、コントロールに苦しんでいました。精神面ではなく、投球フォームなど技術的な部分に原因があると感じました。

大阪桐蔭には川本投手のほかにも、左腕の好投手がいます。吉岡投手がセンバツの課題を修正できていれば、川本投手不在でも、夏の甲子園に出場できると考えていました。しかし、夏の大阪大会も吉岡投手は復調したとは言えず、打線も迫力を欠いて4回戦敗退となりました。


8月5日開幕した夏の甲子園

 

■雰囲気を変える「長打」 今年の大阪桐蔭で課題

もちろん、大阪桐蔭が甲子園に出場できなかった理由は吉岡投手の責任ではありません。どんな試合も、1人の選手によって勝敗が左右されることはないと思っています。勝敗は様々な要素が組み合わさった結果です。特に、一発勝負のトーナメントには難しさがあります。

今年の大阪桐蔭の試合を追っていると、長打力の必要性を感じました。何試合も戦っていると、なぜか攻撃がちぐはぐでかみ合わない時や、流れに乗れない時が出てきます。そういった試合は、なかなか安打が続きません。

しかし、長打力のある打者がいると、2死から四死球で出塁した走者を還したり、本塁打で雰囲気を変えたりすることができます。大阪桐蔭は今春のセンバツで、単打に盗塁やエンドランを絡めた攻撃を見せていました。そこに長打という選択肢が加われば、夏の結果は違っていたかもしれません。

 

■全国各地で強豪校が地方大会敗退 「波乱」ではない理由

今夏の甲子園は、大阪桐蔭を含めてセンバツでベスト4に入った全チームが出場を逃しました。報道では「波乱」と伝えられていますが、これは十分に起こり得ると感じています。地方大会では、「負けて元々」と捨て身で挑んでくるチームが少なくありません。公式戦でほとんど登板していない投手を起用したり、大胆な戦略で相手のペースを狂わせようとしたりするチームもあります。

私たちの2学年上の代は、大阪大会の3回戦で府立桜宮に敗れました。私が高校3年生だった夏は甲子園で春夏連覇を果たしましたが、大阪大会3回戦で府立門真西に一度は逆転を許す展開でした。4回戦の箕面東戦は得点が6回の2点だけで、3安打に抑えられています。紙一重で勝利を手にして、大阪代表の座をつかみました。

負けたら終わりのトーナメントでは、劣勢の展開になると、どうしても焦りや恐怖心が生まれます。試合終盤にチャンスが巡ってくるはずと思いながらも、本当に得点できるのかという不安が頭をよぎります。投手が不安定な時は攻撃陣が慎重になり過ぎ、得点が入らない展開では、投手が必要以上に神経を使い、チームとして悪循環に陥りがちです。

だからこそ、地方大会を勝ち抜き、甲子園にたどり着くことには大きな価値があると思います。大阪桐蔭には今夏の敗戦を次の成長につなげてほしいですし、履正社をはじめとした出場校が、一発勝負の重圧の中でどのような力を発揮するのか注目しています。