
中学校で出張指導する水本
■レベルの高い環境で成長 中学生から硬式のメリット
卒業の時期を迎えました。中学でも野球を続けようと考えている小学生6年生の中には、軟式と硬式どちらを選べば良いのか迷う人もいると思います。私たちが運営する野球塾に通っている選手や保護者からも相談を受けます。
私は現役時代、中学生から硬式をスタートしました。通っていた中学校に軟式野球部はありましたが、それほど熱量は高くありませんでした。私は中学卒業後、地元の石川県を離れて県外の強豪校で甲子園に出場する目標があったので、よりレベルの高い環境を求めて硬式野球のクラブチームに入りました。
中学生から硬式を始めるメリットは、いくつかあります。まずは、上手い選手と出会える確率の高さです。軟式と硬式、どちらに上手い選手が集まっているか比較すると、私は硬式だと感じています。向上心やモチベーションを高く持ち、野球の技術を高めていくにはレベルの高い環境に身を置くことが重要だと考えています。
もちろん、周りに流されず、自分を律して目標に向かっていける中学生もいます。ただ、自分より上手い選手を見て技術や練習法を吸収したり、競争心を持って練習に取り組んだりできる環境の方が、レベルアップしやすいと思います。

石川県小松市に開校した野球塾「Amazing」石川校
■人脈や視野の広さ 野球以外の面にも意義
それから、硬式はクラブチームの数が少ないところもメリットと捉えています。私が中学生の頃、石川県内には硬式チームの数が限られていたので、愛知や滋賀、京都や大阪など練習試合で各地に遠征しました。お弁当や補食の準備、配車といった保護者の負担は大きくなりますが、県外のチームと対戦したことで交友関係が広がりました。人脈や視野が広くなるのは、野球以外の面でも意義があります。
他にも、硬式を勧める理由はボールへの慣れです。同じ野球とはいえ、軟式ボールと硬式ボールには大きな違いがあります。高校や大学、社会人やプロは硬式ボールなので、上のステージを見据える中学生は早い段階で硬式ボールに触れていた方がアドバンテージになります。
打撃面で硬式ボールと軟式ボールの大きな差は「痛さ」です。軟式と違って、硬式はバットの芯を外れると、手がしびれます。それから、体に当たった時の痛みは軟式と比較になりません。私は硬式を始めてすぐの時期に、フリー打撃で社会人野球経験者の投球が体に直撃しました。その痛みがトラウマになって、しばらく恐怖心が消えませんでした。
■けがのリスクや恐怖心 軟式が合っているタイプも
小学校5、6年生で野球を始めた場合は、中学で軟式を選ぶ考え方も1つです。まだ経験が浅い段階で硬式の痛さや怖さを体験すると、野球自体が嫌になってしまう可能性があるためです。また、成長期が遅く、中学校入学時点で体が大きくない選手も軟式が良いかもしれません。軟式よりも重い硬式ボールは肩や肘への負担が大きくなるので、けがのリスクは高くなります。
軟式にも強豪チームがあります。私の地元では、当時から星稜中学が強かったです。そうした強いチームに入れば、硬式のクラブチームに引けを取らないくらいレベルの高い環境でプレーできると思います。チーム選びの正解は1つではありません。体格や野球経験、その先の目標など、自分に合ったチームを探してください。