■藤浪投手や中田選手 今季のプロ野球は大阪桐蔭OBが話題
プロ野球はソフトバンクの日本一で幕を下ろしました。プロ野球がシーズンオフに入ると、秋の終わりを感じます。
今シーズンのプロ野球は、大阪桐蔭出身の選手が話題になりました。まずは、藤浪晋太郎投手の日本球界復帰です。高校の同級生でチームメートだった藤浪投手の動向は、常に気になります。メジャーでは思うような結果を残せていませんが、投球を見る限りは力が衰えたようには思えません。まだ、31歳。もう一度、華やかな舞台で活躍すると信じています。
中田翔選手の現役引退も大きなニュースでした。中田選手は私の5歳年上です。大阪桐蔭の知名度を一気に上げた存在で、私も甲子園で活躍する姿をテレビで見ていました。私たちが甲子園出場を決めた際に差し入れをしていただき、電話でお礼を伝えましたこともあります。中田選手を含めてOBの方々には、甲子園に出る度に記念Tシャツをつくってもらったり、飲み物や食べ物を差し入れしてもらったりしました。
もう1人、注目された選手は巨人・泉口友汰内野手です。大阪桐蔭卒業後に青山学院、NTT西日本を経て、2023年のドラフト4位で巨人に入団。プロ2年目の今シーズンは133試合に出場し、リーグ2位の打率.301をマークしました。今では、チームに不可欠な存在となっています。
今季のプロ野球は大阪桐蔭出身選手が話題に
■タイミングの取り方が抜群 泉口選手は教育実習で交流
実は、大学時代に教育実習で大阪桐蔭へ行った際、泉口選手は2年生で在籍していました。私は社会科を担当し、泉口選手のクラスでも授業をしました。グラウンド外の泉口選手は、おとなしいタイプでした。和歌山県出身ですが、関西っぽさがなく、自己主張をせずにマイペースな印象を受けました。
私は大阪桐蔭でプレーしていた頃、同級生には藤浪晋太郎投手や澤田圭佑投手、1学年下には森友哉捕手がいたので、将来プロに入る選手のレベルを肌で感じていました。教育実習で泉口選手を見た時、プロに行くとは想像していませんでした。タイミングを取るのが抜群に上手い打者と感じた一方、フィジカルの強さやスピード感に欠ける印象を受けたためです。打撃も守備もクセがなく、動きがきれいでセンスを感じさせる選手だったので、社会人まで長く野球を続けるのかなとイメージしていました。
ところが、泉口選手はプロに進んで巨人のレギュラーとなり、打率3割をクリアしました。近年は投高打低の傾向が強く、今シーズンは打率3割を超えたのは両リーグ合わせて泉口選手を含めて3人しかいません。短い期間とは言え、教育実習で一緒に過ごした選手が活躍するのはうれしいですね。
泉口選手の姿は、喜びと同時に学びにもなっています。現在、野球塾を運営する立場となり、タイミングを上手く取れる選手は将来“化ける”可能性があることを泉口選手から学びました。打撃指導ではタイミングの取り方を教えるのが一番難しいんです。感覚を掴めないまま、野球を終える選手もいます。
タイミングは個々の感覚による部分もあります。それでも、指導者は上達のきっかけやコツを伝えることができます。大阪桐蔭時代はそこまで目立つ存在ではなかった泉口選手がプロで結果を出す姿を見て、打撃におけるタイミングの取り方の重要性を改めて実感しました。今まで以上に、指導で大切にしています。