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高校野球は進化中 甲子園で感じた低反発バットと体づくり

■2年連続で夏の甲子園観戦 選手が低反発バットに順応

今夏も甲子園で試合を観戦しました。昨夏、高校3年生以来10年以上ぶりに甲子園を訪れており、今年で2年連続です。

昨夏は母校・大阪桐蔭の試合に合わせてチケットを取り、桐蔭ベンチのすぐ近くの席に座りました。グラウンドに近くて臨場感があった一方、ずっと日向でものすごい暑さでした。高校生の時にプレーしていた時は、甲子園の暑さがきついと感じたことはありません。スタンドの方が断然、暑いですね。

今年は暑さを避けるため、バックネット裏上段の席を選びました。臨場感は昨夏より劣りましたが、聖地の雰囲気は存分に感じられます。甲子園全体が見える景色は新鮮でしたし、日陰で風も通っていたので快適でした。

甲子園はテレビでも観戦していますが、昨夏と比べて選手たちが低反発バットに順応してきたと感じました。それでも、打った瞬間は外野の頭を越えると思った打球が定位置で捕球されるケースもありました。やはり、かつてのバットとは違うと感じています。

 

■花巻東や山梨学院など フィジカル重視するチーム増加

私も昨年、低反発バットを試した経験があります。バットの芯に当たった時は、私たちが使っていた頃の金属バットと飛距離に違いは感じません。ただ、詰まった時は打球の初速が鈍く、飛距離も出ない感覚がありました。

低反発バットが導入された昨春のセンバツでは、大半のチームが長打を狙わず、スイングをコンパクトにして内野の間を抜く打球を意識しているように見えました。その傾向は昨夏の甲子園でも大きく変わっていませんでした。

ところが、今夏の甲子園では「バットによって飛距離が落ちるなら、それを補う体をつくる」というフィジカル強化に重点を置くチームが増えてきた印象を受けました。中でも、花巻東の選手たちは目を引きました。花巻東は低反発バット導入前から選手の体格の良さが目立ち、私たちが対戦した頃とは明らかにモデルチェンジしたイメージです。

 花巻東の他にも今大会は山梨学院や仙台育英など、フィジカルを重要視していると感じさせるチームがありました。全国トップレベルのチームは、選手の体が大きい。厚みがあり、威圧感を漂わせています。

私たちの頃の大阪桐蔭も、体つきから相手を圧倒する雰囲気がありました。大阪桐蔭の試合は大阪大会から気にかけて見ていますが、最近は体格にやや物足りなさを感じます。大阪桐蔭がフィジカルを軽視しているわけではなく、その重要性に気付いて力を入れているチームが増えているのだと思います。
沖縄尚学の優勝で幕を下ろした今夏の甲子園


■もう高校球児に戻れるなら…見せ方に工夫の余地

今夏は東大阪大柏原と尽誠学園の試合を甲子園で観戦しました。東大阪大柏原は尽誠学園の左腕・広瀬賢汰投手を攻略できず、0-3で敗れました。大阪桐蔭出身の私としては、やはり大阪代表はどの学校が出場してもベスト8くらいまでは勝ち進んでほしい思いがあります。大阪桐蔭不在の甲子園にも寂しさを感じました。

ただ、純粋に高校野球ファンの1人として、球児のプレーや甲子園の雰囲気を楽しませてもらいました。高校を卒業して10年以上経ちますが、高校野球を見ていると、もう一度、甲子園でプレーしたい気持ちが年々大きくなっています。

自分が高校生だった頃は、グラウンドの中で全力を尽くすことだけに集中していました。スタンドを意識することはあまりなく、「お客さんが多いな」というくらいの感覚でした。2年連続で甲子園のスタンドから観戦して観客の目線を知った今は、見せ方を工夫できたと思っています。親や友人をはじめとするアルプスの応援や高校野球ファンの視線を感じながらプレーできたら、また違った感覚を味わえたと想像しています。

もし、高校生に戻って甲子園のグラウンドに立てるのであれば、プレー以外でも注目を集める方法を考えたと思います。例えば、打席に入る前のルーティーンや球場を沸かせる攻守交替の全力疾走など、名物をつくるのも一案です。試合前のノックで特徴を出すのも良いですね。個人やチームをブランディングすれば、相手にプレッシャーをかけたり、観客を味方につけたりする効果を期待できます。少しビジネス的な発想で、高校球児らしさには欠けるかもしれませんね。